五代目 高田為八 氏
1)手描き
型を使って染めるのではなく“顔料”で“描く”。京都に特注している刷毛を使い、「手描き」にこだわる。裁断されたまっ白な綿布にまず目を描き、アタリをつけて下書きなしで一気にひげ、うろこを描く。七色の顔料を使い色をつけていく。“ぼかし”を入れることと、うろこ一枚一枚に“毛はけ”を施す(線を入れる)ことでぐっと立体感が出る。すべての工程はやり直しがきかない一本勝負。(手描きゆえ描いたものの上から訂正の筆を入れるとどうしても筆跡が残ってしまう。)
よく見ると、金太郎は顔が正面を向いている側と、後頭になっている側を描き分けてある。
刷毛を使った独特の技法
2)金太郎がまたがっている
真鯉に金太郎が乗っているのが最大の特徴。これは明治終わりから大正年間に高儀の職人・音吉という人が発案したと伝えられている。いかにも和凧職人らしい発想と言える。
3)鯉本来の形状
単なる筒状ではなく、本物の鯉のようにふっくらとした立体的な形状をしている。つまり胴が太く口が大きいため、風をはらんで大きくふくらむ。(筒状の鯉幟よりたくさんの布を使用。)
4)色
「舶来もの」など、こだわりの“顔料”を使う。こればかりは企業秘密とのこと。五代目が苦心して探し出したコバルトは美しい発色。プリントでは出せない深みのある色。